エッセイ

男5人ひとり旅・黒潮編~フェニックスシーガイアリゾート旅行~②

 

 

 

大富豪で苛烈な取り立てをする男

大富豪・・・このゲームは人の性格がはっきりと出てしまう。だから、他人の性格を知るのにもってこいのゲームである。

大分辺りでかなりの人が列車を降り、マサと谷さんの前が空き彼らが手招きしたので、僕は席を立ちゆく手を遮ろうとする提督の手を

振り払って前へ進み始めた。

 

マサ達の席へ着き、早速対面座席へ座席を回転させようとしたが、途中まででしか回らなかった。前のおじさんの席に引っ掛かっていたのだ。

お願いをしようとしたのだが、あいにくお休み中だった。

 

この気まずい声掛けをだれにするのか、僕たちはじゃんけんをすることになり、見事にマサが説得係を拝命することになった。

それから、睡眠中だったかっちゃんを起こし、念願の大富豪をすることになった。

 

大富豪のルールは様々あるが、今回は谷さんの普段しているルールに近いものですることに。

性格が出るとはいえ、かっちゃんが大富豪になると凄まじい取り立てが行われた。

 

『年貢率200%』『猛者蔵』。そして、大貧民になった者へは、カースト制度も真っ青なカードを送ることになった。

最初のプランテーションでの極悪労働は、谷さんだった。

 

『猛者蔵、それだけは勘弁を・・・』

 

と、袖にすがる谷さんを足蹴にして、かっちゃんは、

 

『搾れるときに搾らんにゃいけんのよ』

 

と、越後谷うり二つの姿で搾り上げるのだった。

 

『お代官様お許しを』『武田元繁』『あぁ~それだけは・・・』『一向宗の力見せちゃる』『麻呂、最悪』

 

と、知的な会話が繰り広げられた。

 

そんなこんなで3時間。気がつけば、私はやや電車酔いの気分の中、宮崎駅に到着した。

 

大体匂いと店構えでうまい店わかるけえ、俺に任せろっちゃ

 

13:00.曇り空と肌寒い風が、私たちを歓迎した。電車での長旅でみんなかなり疲弊していた。

 

というのも、昼食なしの上に、始発からの6時間の強行軍で脱落者がいてもおかしくない状況だった。

 

だからまずは、腹ごしらえをしてからシーガイアに向かうことになった。

 

改札口を抜けると異変が発生した。いつも後ろにいるはずの谷さんがいつの間にか、先頭を歩いているのだ。

 

彼はもう我慢の限界を超えていたのだ。蝋でできた食材サンプルを見ながら値段と店構えを確認し、美味そうな店をはじき出し、

 

自分が食べたい店を発見するとおもむろにその中へ突っ込んでいった。私たちの許可を取らずにだ。

 

まさに傍若無人な欲望の塊のような男だと思った。

 

仕方なく私たちもその流れに乗り、店の中に入ることにしたがそれは大きな間違いだった。

 

メニューを見て頼んだ私たちの料理が先に出てきたが、谷さんのはなかなか出てこなかった。

 

『普通もっと早く出るやろ。大した料理やないんやけえ』と、周りに聞こえるような声で悪態をつく谷。

 

冷や冷やしながら、食事をしているとやっと谷さんの食事が運ばれて来たと同時に、かぶり付く谷さん。

 

さらに、ごはんをすぐにお替りし提督から

 

『これから泳ぐのに食いすぎぞ、谷さん。考えて食えっちゃ』

 

と、注意をされてもお構いなし。

 

『大丈夫。これ前菜みたいなもんやけえ。これぐらいじゃ吐かんけえ』

 

と、一生懸命に食事を楽しんでいた。

 

野猿街道をゆく5人

シーガイア行のバスは凄い。とにかく、停まるバス停すべてが野猿や野猿街道と野猿と付く名称なのだ。

 

さらに停車ボタンを押すと必ず

 

『タイタイ』

 

と言うのだ。

 

最初は空耳かと思ったが、2度、3度と聞くとどうやら本当らしいと可笑しくなってきた。

 

提督に

『今、タイタイって言ったよね』

 

と、確認するも

 

『いや、聞こえんよ。幻聴やろ』

 

と、即否定をされてしまった。

 

フェニックス・シーガイアリゾート

 

小野田駅を出発して8時間ぐらいで目的地に到着した。気持ち的に少し安心したのと、これから楽しめることに気分は昂揚してきた。

 

士気が+5された感じだ。

 

すぐに受付で色々なチケットを購入し入場する。

 

着替え等を済ませて、屋内プールへ駆け出すと、思った以上に暑くなく少し寒いと感じるぐらいだった。

 

30℃ぐらいはあったのだろうが、やはり太陽がないため体感温度はそう感じてしまうのだろう。

 

一先ず人口波の来るプールで、ぴちゃぴちゃと体に水を掛けていると突然のビックウェーブが5人を襲った。

 

みんなそれぞれ泳ぎ始めていたが、谷さんだけは浮いていた。泳ぐという概念がそこには存在しないように、ただ浮くことが

 

プールを満喫する手段のようだった。

 

ひとしきり、泳ぐよアトラクションがあるらしいといくことで、1つ目のアトラクションい向かうことになった。

 

定番ではあるが、スライダーを滑ることにした。

 

スライダーは2つ滑るところがあり、1つは明るく一般的なスライダー。もう1つは密閉された状態の暗がりの中を滑るスライダーだ。

 

暗いところは、中の状態が分からないまま左右に振られるので、鼻に水は入るは口に入るわで予想外だったが、凄く新鮮で面白かった。

 

『普通の滑り方やとおもろくないけえ』

 

と、かっちゃんはスーパーマンのように前滑りの格好でスライダーを滑って行った。

 

見事に滑り切ったあとに出口のプールで

 

『そこのお兄さん。危ないから前滑りは止めてください』

 

と係りのお兄さんに怒られていた。

 

濃霧の洞窟で谷さんが

 

『みんなで行けば怖くない』

 

と弱音を吐きでかい図体を小さく丸めていた。

 

アトラクションに酔う男

 

シーガイアの中でウォータークラッシュとアドベンチャーシアターは最悪のアトラクションと言っても過言ではない。

 

だらだらと長い説明の後に、係のお兄さんが

 

『お兄さんに会ったらしっかりと手を振ってくださいね!もしかしたら、助けてくれるかもしれませんよ!』

 

ディ〇ニーのようお約束をし出発。

 

船が揺れるたびに、顔に水しぶきがかかり息ができない。苦しい僕をよそ眼に普段はテンションが低い提督が

 

『お兄さん!』

 

と、一番大きな声で、大きく手を振っていた。

 

前の席にカップルがいたので僕は、恥ずかしくてそこまでできなかった。

 

『お兄さんにあんなに手を振ってアピールしたのに助けてくれんやった』

 

と提督はぶつぶつと言っていた。臆病者の提督もMAX楽しめたみたいだった。

 

そのあと酔いがある状態でアドベンチャーシアターで完全に酔ってしまった僕は、どんなアトラクションだったかすら思いだせないぐらい、

 

真っ青な顔だった。ベンチで座って回復をしていると谷さんが、

 

『すぐ酔うね。俺全然酔わんけえ』

 

とアッポッポと笑っていた。この当時は知る由もないが、後年グべ汁の呪いで悲劇が彼を襲うことになるのはまた、別のお話。

 

直下式スライダーとボディーボード

ロストワールドはやばかった。やたらと水を被りまくり提督に

 

『死んでる』

 

と言われたことだけだった。

 

ロッキースライダーは、巨体の谷さんに

 

『押して』

 

と言われたが、浮き輪が微動だにせず全員で押すことに。提督やかっちゃんは、浮き輪から投げ出されて大興奮し、ドラゴンスライダーで提督は、

 

直下式に滑ったとおしりをさすっていた。それなりに、みなスライダー系は楽しめたみたいだったが、メインのボディーボードに乗らずに

 

18時前になっていた。

 

やっと乗れたボディーボードは、面白い。なんと言っても他人を轢くことができるからだ。あくまでも不可抗力だが僕は、かっちゃんを1度轢いた。

 

でも、仕返しに2度轢かれた。きっちりと倍返しをする男はこの頃から健在だった。

 

提督は、波に乗れずどこで擦りむいたか腕に擦り傷ができていた。マサは、相変わらずニマニマしながら怪しく波乗りし、谷さんはトドが波に打ち寄せる

 

ように乗っていた。

 

提督は、

 

『チェスト!チェスト!チェスト!って、誰も言わん。俺はちゃんと言っちょるのに』

 

と、勇ましく波に乗り、僕とかっちゃんにやるように促して来た。

 

僕はその薩摩の猿叫の掛け声をするとどうもうまく波に乗れなかった。

 

こうして、シーガイアの半日は終わろうとしていた。

男5人ひとり旅・黒潮編~フェニックスシーガイアリゾート旅行~①

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